ブラジル生まれのウクレレ?[旅へ持ち出したい楽器・2]
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作成日時 : 2008/02/14 23:55
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ブラジルにもウクレレがある。
そのことを知ったのは、焼きたてパンのような肌をしたブラジルの歌姫ベッチ・カルバーニョだった。
20年ほど前、ベッチ・カルバーニョがウクレレ弾いている写真を雑誌で見て、「へええー、ブラジルにもウクレレがあるのか」と思ったのだった。
その音を聴いたこともなかったけど、ブラジル音楽の写真を意識して見てみると、ウクレレはいろんな場面に登場している。なるほど、ブラジルではウクレレがかなりポピュラーな楽器なんだ。
てことは、ブラジル人もぽろんぽろろんとウクレレを弾きながら、「アロハ〜・オエ〜」などとうたっているのだろうか。
そんなふうにはとても考えられない。聴いたこともない。想像もできない。
ギターと比べるとこんなに小さい。まさにウクレレ・サイズだ。
数年前、ブラジルを訪れたことがある。
で、さっそく楽器屋を訪れてみる。
すると、どんな小さな楽器屋にウクレレは売っているのだ。
雑貨屋の天井にも吊り下げられていた。
でもそれらは、どう見ても子どもだましで、ぺらぺらとしか鳴らないように思える。
が、大きな楽器屋にもウクレレはならんでいた。それも、かなり本格的なやつが。
そしてそれは、ウクレレではなかったのだ。あたりまえのことながら……。
カバキーニョというんだ、と店主がいう。カバッコとも呼ぶらしい。
4弦の楽器で形はウクレレそっくりだが、ちょっと大きくしたような感じだ。
弦はウクレレと違いスチール製。チューニングもウクレレとは違う。
あとでわかったことは、ポルトガルで生まれた4弦の小さな楽器が、ハワイへ渡りウクレレとなり、ブラジルへ渡ってカバキーニョになった、という。
ルーツは同じだったのだ。
Giannini というメーカー。ブラジルでは有名らしい。
ジアンニニとでも発音するんだろうか。
ここで、カバキーニョの専門的な話をちょっと。
カバキーニョのチューニングはオープンGだった。これはブルースやハワイアンでのギターによく使われているチューニングで、ま、簡単にいってしまえば“ものぐさチューニング”である。
どこも押さえずじゃらんと弾けば、ちゃんと和音になっている。
いろいろ押さえるのは面倒くさいなあ、なんて思ってる人には最適のチューニングである。
ローリング・ストーンズのキース・リチャーズなんかもよくオープンGにして、ええい面倒だ、と不良っぽい弾き方をしている。
カバキーニョは、ギターのオープンGの高音部4弦と同じチューニングだったのだ。
こんなふうにやるんだ、といって店主がチャカチャカ弾きだした。
なるほど。サンバ演奏でのリズムを刻む高音の騒々しい弦楽器が、これだったのだ。
と、となりにいたもうひとりの店員が、突然、タンバリンのような太鼓(バンデイロ)を叩き出した。
ふたりの演奏は、いきなり太陽の光いっぱいの青空の下へと連れ出してくれた。
まるで、まぶしい光を全身に浴びているようだ。
音楽ってのは、こういうためにあるのだ。
というわけで、つぎの瞬間にはぼくもカバキーニョを手にし、シャカシャカと弾いていたのだ。わからんなりに。
もちろん買って帰ることにした。
いくつかのコードが書かれた小冊子をもらったので、とりあえずはこれを見て自己流で弾いていればいいだろう。
この先、ブラジルの旅でカバキーニョを持っていると、いいことがあるかもしれない。
ベッチ・カルバーニョのようなこんがりトースト娘が、腰をくねらせながら集まってくるかもしれないじゃないか。
ペグヘッドは、クラシック・ギターなどと同じ、スロッテッド・ヘッドのスタイルだ。
てなことはもちろんなく、無事(?)日本に帰った僕は、結局、このカバキーニョにウクレレの弦を張り、ちゃらちゃらと弾いている。
邪道だ、と怒るブラジル通の人がいるかもしれないけど……。
ひとつ、ごかんべんを。
それはそうと、サウンドホールからなかを覗くと、ボディ材の貼り合わせの隙間から光がいっぱい漏れている。
このすかすか感が、いい音をはぐくんでいるのだ。きっと。
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